東大木曽観測所の特別公開を見にいく(ダイジェスト版)
鹿角平天文台の非常駐解説員の東大理研の吉田さんから木曽観測所の特別公開に在任中に見に来て言われてたけど繁忙期なのでなかなか行けず今夏に行くことができた。公開日の駐車場から少し歩くとライブカメラで見慣れたドームのある景色(^^;
吉田さんと再開して、シュミット望遠鏡見学ツアーに参加して2階にいくと巨大な望遠鏡! 特別公開なので動かして見せてくれていた。巨大な望遠鏡がギュンギュン動くさまは圧巻・・・たぶんうちの主鏡と変わりない速度かも?
主鏡裏からトモエゴゼンの心臓部のCMOSセンサーを見る。脇にでているのはセンサー交換用のロボットアームだそうです。トモエゴゼンはCanonのフルサイズCMOSセンサーを84個並べた超広視野カメラ。乾板で撮影していた105cmシュミット望遠鏡の再活用(90年代の乾板の終了とともに過去の遺物となったシュミット望遠鏡が苦難の年を重ねて蘇ったのはかなりの驚き! ぜひプロジェクト✘とかで取り上げてほしい)展示室にはこのセンサーの模型や乾板ホルダー、乾板で撮影された天体写真やデジタル過渡期の8個のCCDで撮影された写真が展示されていた。
15時からは講演会。夏休みで子供が多いと想定してたらご覧の方々(笑)と始まったのは「木曽観測所のこれまでの50年」(翌日はこれからの50年)※この様子は後日UPされるそうです。
講演会は本館講義室という教室みたいなところが満員・・・そんなに聞く人いたのか(^^; 乾板ホルダーを持ちたい人というので持ってみたらかなり重い! ホルダーは湾曲していて周辺像の光学補正をしていたとか。ガラス乾板を無理やり曲げてたらしく、2mm厚は割れやすく1mm厚が使いやすかったとのこと。約1時間の興味深い講義でした(時間をオーバーしてたけど)。
最後の質問であった。乾板写真&デジタルの公開している天体写真は→こちら(サイドバーメニューで選択)
トモエゴゼンの画像は→トモエゴゼンスカイアトラス:(毎日更新)
この辺はアナウンス不足を感じるな(^^;
蛇足だけど本館には気象監視システムなどのパネルがあった。雲量・雨・雷雲などを監視して晴れてるところに望遠鏡を向けたりとドームを開閉したりと望遠鏡の自動・遠隔観測をおこなっているんだとか。
この時聞いた講演会のアーカイブがYouTube 理学系研究科・理学部チャンネルにて公開されてます。
特別公開日は夜間公開もあって実際に望遠鏡がのぞける。こちらがメインで来たといっていい(常時日中は展示室と望遠鏡の見学ができる)ただ肝心のシュミット望遠鏡は不調で観望(ガイド鏡の20cm屈折で)できず調整中(^^;
ということで30cmを先に見る。変光星観測に使ってるタカハシのミューロンが入っている。夜天光観測室の屋上も開放されて寝転んで「長野県は宇宙県」の会長の大西さんによる星座解説をしていた。また木曽星の会の方々が望遠鏡をだしていた。ちなみに夜天光は聞き慣れないけど、大気光や黄道光(後は銀河散乱光,銀河系外光などの星野光もある)などの観測から太陽活動を反映した地球の超高層大気の研究をしているらしい。ついでに夜天光全天カメラは2004年まで、ニコンF2+特注のNikkor f=8 mm F2.8の全周魚眼で天候監視や火球カメラとしても活躍したらしい(現在は魚眼レンズ+フィルター+CCD。屋上に設置してあるらしいけどこの日はシートがかかっていてわからず)。
薄明が残る中観望会スタート。星座案内とかはオーソドックスなものでそれほど変わりがないな(笑) かなり強力なライトで星を指していた。星の村の大野さんも最近はライトだったな、渡部先生は緑レーザーポインターだった。大人数に見せるときは光跡が太いほうがいいのかも? 単にこのみ?
野外のドブも30cmも雲が多いせいかアルビレオだった。雲が流れてくるような天気だと一等星や二重星になりがち・・・観望会あるある(笑)
シュミット望遠鏡が直って観望できるというのでシュミットドームへ。ガイド鏡の20cmは2本あり、見れたのはニコンのアクロマートF15(たぶん)。見たのはベガでお手本のような回折環(エアリーディスク)が見えた。ただバルサ切れしたレンズのような黄色味を帯びた色だった(^^; こんなので惑星とか見てみたい。その後残念ながら不調になり他の天体は見れなかった。
野外では木曽星の会の方々が望遠鏡を出していた。GINJIでみた亜鈴星雲は丸い光芒の中におなじみの銀行マークの明る部分が見える。ここの空の良さを証明しているような見え方だった。ただ星空は雲多め。パーと晴れては曇るの繰り返し。気温は高めで半袖でいられる。もっと冷え込まないと快星にならないとか。明日阿智にいくといったら、ここのほうが暗いといっていた(※木曽観測所は特別公開日しか夜間は入れない)。
光害が少ないのは雲の暗さでわかる。吉田さんによると鹿角平の空も木曽に負けず劣らず良好な星空だそうだ・・・見慣れた鹿角平の空なのであんまりそうは思わなかったけど、誇っていい星空らしい(^^;
同時に公開してるのが名古屋大の太陽風木曽観測所。同じ敷地内にある電波望遠鏡。
電波望遠鏡というとパラボラを想像するけど、地上波でおなじみのUHF(地デジ前の世代しか知らないか)で、張られた金属線が導入部で、T字に並んでいるのがアレイアンテナ(写真だと強調処理で繋がって見える)。これで恒星(電波星)を観測してそのゆらぎで太陽風の動きがわかるんだとか。更に複数のアンテナで観測すると太陽風の速度や密度擾乱の強度なども見えてくるとのこと。これは聞いてみるまでわからなったな。なおアンテナは上下のみ稼働で、水平方向は指向性を変えて観測しているとのこと。水平にしたときに鹿が引っかかったりするのが困りものだとか・・・すげえな鹿! 観測に邪魔になるから動物よけの電気柵なんかは設置できないとか。
続→木曽に来たので、こんな機会でないと行けない阿智村と小川天文台にも行ってみた。
※この記事はYAMANONブログを以下を天文関係のみまとめて再編したものです。
1.木曽観測所の特別公開を見にいく(日中編)
2.木曽観測所の特別公開を見にいく(夜間編)
3.赤沢自然休養林と名古屋大太陽風観測所
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