スマホでアストロデジスコ(BORGプラ鏡筒編)

ガラケーからの乗り換えで星が写るスマホを手にした。その写りには驚愕! 更に主鏡くんにつけて写したらあまりに凄まじくて天体写真はもうスマホでいいやと思うレベル。主鏡/35cmだからかなと小口径屈折であれこれ撮ってみたらこれも悶絶する写り

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BORG 76アクロ×PL26mm Pixel4a ISO553  天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)  数ミリ先のレンズの埃から1,300光年先のオリオン大星雲までを一枚に(笑)遮光があまくて脇から光漏れしてただけだけどね。超高感度でもないのに16秒露出で、ここまで写るのは合成Fが非常に明るいからだ。
デジスコ(カメラにアイピースを覗かせるコリメート撮影)は 低倍率だとカメラレンズの明るさで撮れる。これがミソ!条件さえクリアできれば、どんな望遠鏡でもカメラレンズの明るさで撮れる。コボーグ(口径36mm 200mm F5.6)でも、あこがれの「大口径レンズ(明るいレンズ)」に大変身してしまう! なので、倍率を欲張ってFを暗くするとたちまち写りが悪くなるので注意! 

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24mm=F1.7と8mm=F3.6の比較。BORG 77EDⅡ×hya8-24mmPixel4a  天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
大星雲の上に写っているランニングマン星雲(NGC1977) に注目。この星雲は望遠鏡でも微かに見えることができる。低倍率だとはっきりと写っているけど倍率をあげると微かになってしまう。ほとんどの星雲でも同じなのでむやみに倍率をあげないほうが賢明。倍率を上げてもよく写るっているオリオン大星雲は稀なケース(他には輝度が高い惑星状星雲などもある)

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BORG36ED ×PL26mm Pixel4a ISO410
天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)

【参考】デジスコの合成Fの求め方
合成焦点距離 = カメラレンズの焦点距離 × 望遠鏡の倍率 (mm) で求めることができる。
(倍率は望遠鏡の焦点距離 ÷ アイピースの焦点距離)
そして合成F値 = 合成の実焦点距離(mm) ÷ 望遠鏡の口径(mm)
ただし、カメラレンズのF値 > 合成F値
 

【例】コボーグ36EDに26mmアイピースをつけると200÷26=7.7倍なので、4.38×7.7=合成焦点距離:33.7mm(35mm換算200mm相当。約6倍の視野を考慮してない大雑把値) 33.7÷36=合成F0.9>カメラレンズF1.7 なので 200mmF1.7に大変身(笑)
デジスコは小口径も大口径も低倍率ならF数は同じ(カメラレンズのF)になる。違いは像の大きさだけ!
ズームが主流のコンデジと違い、スマホは単焦点(多眼)構成が多いので、合成F値がとても明るいものにできる。作例のPixel 4aは固定レンズで4.38mm(77°/35mm換算27mm相当) F1.7と明るいので想像以上によく写る。

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BORG 76アクロ×PL26mm Pixel4a ISO195
天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)

とうことでプラBORGでお手軽撮影してみたら、これが素晴らしい! 初心者でも満足できる星雲星団写真が撮れること間違いなし。アダプターの取り付けが、若干慣れが必要だけどかなり簡単。自宅前とか町中で撮るには、アイピースに外灯とか車のライトなどが写り込むので遮光に注意が必要なくらい。
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赤道儀も16秒追尾できる精度で十分で、ポータブルタイプでもOKだった。ついでに、前後の露出中にない光跡・・・暗い人工衛星とかは消えていたけど、飛行機とかの明るい光跡は残ってしまうようだ。
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現在、星空がよく写るスマホは、iPhoneのナイトモード(11以降に搭載。最長約10秒?)Googleカメラ(アンドロイド用。公式対応機はいまのところpixelのみ。天体写真モードで16秒のコンポジット。トータル4分。※アンドロイド機でも独自のナイトモードで星が撮れるスマホもある)。今後も星の写るスマホは増えていくだろうと思われ、天体のお気楽ゆる撮りが流行るかも?・・・多少の難しいのはスマホアダプターが汎用型な為に調整が必要になったりする点。調整は星空でするのは(見えないので)無理。夜景や外灯に照らされた壁などを利用するとわかりやすい。スマホケースみたいに専用のアダプターケース+アイピースなんかセットでだしたら売れるかも? 撮影で使ったAD(カメラアダプター)はコンデジ用のADに、100キンのスマホ三脚のクリップ部分を利用したもの。

ついでに、月や惑星はこんなのをご利用ください(笑)→YAMANON スマホ望遠鏡アダプター

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アンドロメダ大銀河  BORG77EDⅡ×WS20mmPixel4a ISO762 881天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
なんにせよ、小口径でもほとんどの人が満足できる写り!?。 これからはスマホでアストロデジスコの時代なのだよ(たぶん)。撮って出しだと、眼視+αというか想像できる程度の写りなので、スマホで撮った画像を参考に、より注目して見てください。物足りなかったら画像処理やRAW現像してみてください。そして天体撮影が面白くなったら本格的な撮影をどうぞ(笑)

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馬頭-火炎星雲  BORG77EDⅡ×WS20mm Pixel4a ISO963天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
まさか馬頭星雲が写るとは思わなかった。いやほんとすごいな(@_@

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「M46-47」BORG76アクロ ×PL26mm Pixel4a ISO530 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット星団の中の惑星状星雲もよく写ってる。

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16秒追尾すればいいだけなので、ポタ赤のCD-1(アイベル)にBORGの片持ちフォーク。重さを抑えるのにプラ鏡筒の組み合わせで撮ってみた。
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大雑把に北に向けるだけだと流石にブレた(高度は固定してある)。極軸はキッチリ合わせなくてもいいけどそれなりに(^^; ※別売りで極望もあるけど、この写真は穴あわせ。カメラだとKissに200mmで1分程度いける精度だ。なお片持ちフォークでは向けるのが難しい北天の天体(二重星団やおおぐまの銀河など)はSP赤道儀(ビクセン)で追尾撮影している。
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ディスプレーでだいたい4~5等の星が見えるけど対象天体は見えないことのほうが多いので導入用にファインダーやフィリップミラーがあれば便利。BORGのプラ鏡筒はターレット接眼部なのでこんなときほんとに便利。プラ鏡筒のたわみが嫌われた様だけど・・・いま思うと時代を先取りしすぎたのかも? 
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「ししの三つ子銀河」BORG77EDⅡ×WS20mm Pixel4a ISO1089 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)NGC3628(10.3等)の暗黒帯もよく写っていて驚く。本当にスマホでいいんじゃないと思ってしまいそう(^^;
蛇足だけど、4分撮影は思っているより長く感じるので双眼鏡とか用意したい(この際なので観望用にもう一台とか?!)。
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76プラより更に軽く200mm望遠程度のBORG-36EDだったら、ナノトラッカーでいけるんじゃないかと試しに撮ってみたら問題なく追尾しました。ただナノトラ(初期型)はアソビ(の戻り)やガタが大きくて自由雲台だと天体を中央に入れるのが難しい。BORG片持ちフォークを試して導入が解決したけど重量オーバーかバランスの問題で、ブレてしまうものとほぼ追尾してるものが半々になりました。最初のコマから駄目。露出後半で流れるなどがあるので、バランス(4分露出中に角度による重量負荷のかかり方の変化)なんじゃないかなと思われます。
ナノトラでデジスコはちょっと厳しい感じです。
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「シリウス~M41」BORG 36ED×PL26mm Pixel4a ISO726 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
AZ-GTi(自動導入経緯台)は試してないけど、77DE直で30秒程度の追尾撮影はできるので、視野回転はあるかも知れないけど赤道儀より更にお手軽に撮影が楽しめるはず(^^;
アイピースはそれほど持ってないので手持ちのアイピースでの話になりますが、昔のアイピースは、だいたい視野円がくっきり写る。PL(ビクセンの古いやつ)は思ってたより高性能。視野円が狭いけど周辺像の乱れも少ない。XL(ペンタックス)は視野円で写る、周辺までさすがな星像。視野円で写るのはそれほど嫌いじゃない。覗いてる雰囲気あるしスマホだと写りも眼視+αで見えそうで見ない淡い部分も写っているのが好みだ(なによりPC作業がないしな(^^; )。ただ、円をせめてセンターにもっていきたいけど調整が微妙なのが難点。WS(ワイドスキャン/ユニトロンの復刻版? 国際光器)広視野アイピースは画角いっぱいに写るけど周辺像はかなりひどい。眼視でも周辺は流れてるけど写った像ほど流れてる感じはしないのは、周辺までそれほど注目してないからかな?
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BORG77EDⅡ×WS20mm Pixel4a ISO909 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
ピクセルは星の色がよく出る印象。二重星団の赤い星がよく分かる。青ハロもよく写りますけどね(^^;
基本的にアイピースは覗いたときの性能がそのまんまでる感じ。アイピースのぞかせて撮ってるから当たり前だけど面白い。ついでだけど、アイポイントはカメラレンズとの位置で調整するので撮影ではほぼ関係ないみたいだ。
更についでにデータのISO感度は参考(ISOはオートのみでいじれない)。16秒と短秒なのであんまり影響しないと思ったけど、町中の自宅前だとISOは1000以下。鹿角平など空の暗いところではISO1000オーバーで撮れている(大星雲とか視野内が明るい場合を除く)ので、空の明るさで感度が落ちることから空の暗さが写りに影響はすると思われます。
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「M81-82」BORG77EDⅡ ×XL28mm Pixel4a ISO1152 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)

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「M35」 BORG76アクロ ×PL26mm Pixel4a ISO635 天体写真モード(4分=16秒×15コマコンポジット)
アクロマートの青ハロは、撮って出しのJPEGでは輪郭エッジがきつくなる傾向がみられる。RAWで現像した方が穏やか。

ビクセン(Vixen) セレストロン オプションパーツ Nex YZ ユニバーサルスマホアダプター 日本語説明書 36094 CELESTRON 81055
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アイピースとの調整が簡単にできる(左右・前後の微動付き)ので汎用性が非常に高い。2インチアイピースに使えるやつもあるので天文台でも使ってる。ただアソビがけっこうあり、もう少し丁寧に作ってもらえればと思う作りなのが残念。

※この記事は、ピンぼけ日記のスマホでアストロデジスコの時代なのだよ。(1) と (2)実写編を再編してまとめたものです。

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